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2018.12.16LIDET

恒例の鈴木健氏による大会見所後編
12.28「POWER HALL 2018」
⑥マサ斎藤さんの遺伝子を継ぐ北宮が長州とタッグ
黒歴史を払しょくするべく狂猿は存在感で勝負

長州力&藤波辰爾&マサ北宮vsNOSAWA論外&葛西純&清宮海斗

マサ斎藤さんの遺伝子を継ぐ北宮が長州とタッグ
黒歴史を払しょくするべく狂猿は存在感で勝負

第1弾は飯伏幸太とタッグを結成し、第2弾では専修大学レスリング部の後輩にあたる秋山準との初対戦を実現させた長州力。POWER HALL第3弾は盟友・ドラゴンに加え、維新軍団時代ともに暴れた故・マサ斎藤さんの遺伝子を受け継ぐマサ北宮とのトリオを結成する。

7・10後楽園で秋山に3カウントを奪われたあと、バックステージコメントで「もう靴(リングシューズ)は脱ごうと思っています」と語った長州は、一つひとつの試合の中で“区切り”の瞬間を意識した上でリングに立つ。そうした段階に入っても、傍らにしっかりと藤波の姿があるというあたりに、両者が積み重ねてきた歴史の深みを感じずにはいられない。思えば12・28後楽園の31年と1日前にあたる1987年12月27日は、両者にマサ斎藤さんも加えた3人にとって大きな出来事があった日だった。

ビートたけし率いるTPGことたけしプロレス軍団が新日本の両国国技館大会に乱入し、アントニオ猪木の対戦相手を長州から斎藤さんが自ら連れてきたというビッグバン・ベイダーへ変更するよう要求。待望の猪木とのシングルマッチが組まれながら勝手に替えられた長州は当然反発。「長州、俺の言うことを聞け!」と説得する斎藤さんに対しても「なんで俺が替わらなきゃいけないんだ!」と食ってかかるシーンもあった。

結果的に長州は斎藤さんと組み、藤波&木村健悟と対戦するも、猪木vs長州戦を目当てにチケットを買った観客が物を投げ入れ「やめろ!」コールが鳴り響く中、せつなすぎる闘いをやることとなった。そして最終的には猪木が長州戦のあとにベイダーと闘い2分台で敗れ、納得しないファンが暴動を起こし、しばらくプロレス興行では両国国技館を借りられなくなってしまう。そんな今なお語り継がれるこの時の大会名が「イヤー・エンド・イン国技館」だった。

今回の対戦相手の一人である清宮海斗は、その時代に生まれてさえいなかった(1996年生まれの22歳)。現役の長州とギリギリのところで肌を合わせる機会に恵まれたのは“持っている”と言っていい。キャリア3年ながら今年の「グローバル・リーグ戦」を初制覇し、12月16日には杉浦貴の保持するGHCヘビー級王座にも挑戦する。その試合に勝てば、ノアの至宝を持って長州の前に立つこととなる。

今回のメインでもっとも話題となっているのは、カリスマデスマッチファイターの葛西純が14年ぶりに長州と対戦することだ。さかのぼること2004年1月30日の大阪府立体育会館第2競技場、橋本真也が率いていた頃のZERO-ONEのリングで実現している。

カードは長州&石井智宏vs橋本&葛西。大日本プロレスを2002年に退団後、フリーを経て2003年にZERO-ONEへ入団した当時の葛西は破壊王の付き人を務めており、このカードも橋本とその子分という位置づけしかされなかった。それだけに長州の視界にも入っていなかったと思われる。

じっさい試合中、石井の動きをスリーパーホールドで止めながら葛西が「長州、出てこいや!」と挑発するも無反応。ならばと本家の前でサソリ固めにいったが、ここでもカットにさえ入らず。後半、パールハーバー・スプラッシュを当たり前のような顔でかわした長州は、リキ・ラリアットを狂猿の首へとブチ込んだ。最後は12分38秒、垂直落下式ブレーンバスターからの片エビ固めで石井が葛西から3カウント奪取すると、橋本は1ヵ月後に控えた一騎打ちを前にマイクを持って長州を挑発。そこに葛西の存在感はまったくなかった。

大日本ではデスマッチファイターとして鳴らしながら、ZERO-ONEでは猿キャラを強調されコミカル路線を強いられたこの時期。葛西にとっては思い出したくもない黒歴史であるのは言うまでもない。だからこそ、カード発表会見で14年ぶりの再会について聞かれると「いや、全然関係ないです」とシンプルな言葉で答えた。あの頃の自分と、現在のクレイジーモンキーが同じであるはずなどないのだ。

相手が長州であっても、これが初遭遇となる藤波であっても、葛西はいつもの自分でいくと言っている。この一戦はデスマッチではなく通常ルールでおこなわれるが、だからといって「凶器を使えないなら普段の葛西じゃない」と決めつけてしまうのは早急すぎる。デスマッチやハードコアルールでなくても、やろうと思えばそれ系のプロレスをやってのけるのがカリスマデスマッチファイターのカリスマたるゆえん。

葛西の出方次第で、このメインは想像を上回るシーンが現出するかもしれない。また、あまりクローズアップされないが葛西は有数のラリアットの使い手でもある。けっして大きくはない体を補ってあまりある瞬発力とタイミングで、迫力あふれる一発をヒットさせるのだ。相手が長州とあれば、いつも以上にインパクトに満ちたラリアットを狙うはず。それを目の前で見せつけたり、あるいは長州本人にサク裂させたりしたら…という期待もある。

葛西に注目が集まる中で清宮はノアの現在形であることを意識した闘いを仕掛けるはず。ノアから出場する清宮と北宮は世代闘争の中で組む関係にあるが、北宮にとっては斎藤さんと同世代を生きた長州&藤波と組む方に重きを置くと思われる。中でも長州とのコンビネーションがどんなものになるかは実に興味深い。中嶋勝彦同様、北宮も佐々木健介を師に持つ男。マサ斎藤-長州-健介-北宮と続く系譜が内包された一戦とも言える。

忘れてはならないのが、巧者・NOSAWA論外の存在。自身が主宰する東京愚連隊ではマスカラスブラザーズやザ・ファンクスをはじめとするレジェンド外国人を招へいし、誰もが少年時代に戻れるような夢を提供し続けてきた。その対戦相手を務めるさい、論外は必ず先人に対する尊敬心を持って試合へ臨んでいる。

それは日本人レジェンドに対しても同じ姿勢であり、最近では引退直前のザ・グレート・カブキと一騎打ちをおこない、その神髄を心と体へ刻み込んだ。ファン時代にブラウン管を通して見ていたヒーローと肌を合わせられるのは、プロレスラーの道を選んだ者の特権。長州、藤波との対戦では、論外なりのそうした思いが体現されることだろう。

ただし、それは無条件で相手に花を持たせるのとは違う。キッチリと勝つためのことをやってこそのリスペクト。小技が効くタイプの論外が、うまく3カウントをかっさらっていくケースは十分にあり得る。

こうした6人が揃う中、2018年の最後に大音量でパワーホールが鳴り響く。いくつもの物語が絡み合うこの試合、長州は現代プロレスに対し何を提示するのか――。

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